雨が強く降ると、ついつい賀茂川が気になります。普段のゆったりとした流れも、雨の後には騒々しく、今にも暴れだしそうな勢いです。この暴れだしそうな勢いこそは、日本の川の真骨頂で、それを押さえ込むための治水の歴史が、日本史の重要な線となって現在まで続いています。
さてこの勢いは、ヨーロッパの川との違いでもあります。どこまでも平らな土地の中に、のっぺりと緩やかな流れがあり、カヌーでどこまでものんびりと進んでいける。そのようなヨーロッパ風の川は、日本ではあまり見ることができません。日本の川を下るには、ジェットコースターのような勢いで、上下に激しく揺られつつ、がんがんと進んでいくのが基本のように思います。私も大学生の頃、ゴムボートでそのように川下りなどしていました。
今から思えば、勢いに乗るという日本の特徴を、川下りで体感した、ということだったのかしれません。ライン河下りの船に乗ったときも、ドナウ河観光の船に乗ったときも、そのような体感はありませんでした。しかし、ゆったりのったりした雰囲気の中で、着実に進んでいく船に乗ったことは、ヨーロッパの意志の根強さを体感した記憶となっているような気もします。ヨーロッパ統合の進み方は、まさにそのような意志の根強さの歴史なのではないでしょうか。